じんましんの見分け方 ― 3つの特徴
じんましんかどうかは、次の3つに当てはまるかで、おおよそ見当がつきます。
① 蚊に刺されたように、少し盛り上がっている
平らな赤みではなく、皮膚がふくらんで盛り上がるのが特徴です。地図のようにつながって、大きな形になることもあります。
② かゆい
チクチク、ムズムズとしたかゆみを伴います。小さなお子さんだと、言葉ではなく「もぞもぞ動く」「機嫌が悪い」という形で出ることもあります。
③ 数時間〜24時間以内に、跡形もなく消える
これがいちばん大きな特徴です。朝あった場所が昼には消えていて、代わりに別の場所に出ている。この「出たり消えたり、移動する」性質があれば、じんましんの可能性が高いと考えます。
湿疹・あせも・虫さされとの違い
じんましん | 湿疹・あせも | 虫さされ | |
|---|---|---|---|
出る場所 | 日によって移動する | だいたい同じ場所に居座る | 刺された場所だけ |
消えるまで | 数時間〜24時間以内 | 数日〜数週間かかる | 数日〜1週間 |
跡 | 跡を残さず消える | カサカサや色素沈着が残ることも | しこりや跡が残ることも |
スマホで写真を撮っておいてください
じんましんは、病院に着くころには消えていることがとても多い症状です。出ているときの写真が1〜2枚あるだけで、診断の精度が大きく上がります。
どうしてブツブツが出るの?
皮膚の中には「マスト細胞」という細胞があり、その中にヒスタミンという物質が入っています。何かのきっかけでこの細胞のフタが開くと、ヒスタミンが外に飛び出します。
すると、
・近くの血管がゆるんで、血管から水分がにじみ出す → 皮膚がふくらむ(ブツブツ)
・近くの神経が刺激される → かゆい
という2つのことが起こります。これがじんましんの正体です。
水分がにじみ出しているだけなので、時間がたって水分が引けば、皮膚はもとどおりになり、跡は残りません。「消えてしまうのに、また出てくる」のはこのためです。
原因は何ですか? ―「食べ物のせい」とは限りません
いちばん多いのは「はっきりした原因が特定できない」タイプ
意外に思われるかもしれませんが、じんましんは原因をひとつに特定できないことのほうが多い病気です。特に長引くタイプでは、7割ほどが「特発性(=はっきりした引き金が見つからない)」とされています。
原因が見つからないと不安になりますが、これは「見落としている」という意味ではなく、じんましんという病気がもともとそういう性質を持っている、ということです。原因がわからなくても、治療の方針は立てられますのでご安心ください。
子どもで多いのは「かぜのあとのじんましん」
小さなお子さんの急なじんましんで比較的多いのが、ウイルス感染(かぜ・胃腸炎など)のあとや最中に出るものです。熱が下がったころ、鼻水が出ているころに、突然ブツブツが広がることがあります。
この場合、感染がおさまるにつれて、じんましんも数日〜1〜2週間で落ち着いていくことがほとんどです。
「食べ物が原因かも」と考えるときの目安
食物アレルギーによるじんましんの場合、次のような特徴が出やすいと言われています。
食べてから2時間以内(多くは30分以内)に出る
その食品を食べたときに、繰り返し同じことが起きる
じんましん以外の症状(せき、ゼーゼー、嘔吐、腹痛、ぐったり)を伴うことがある
逆に、「食べてから半日後に出た」「同じものを何度も食べているが、出たのはこの1回だけ」という場合は、食べ物が原因である可能性は低くなります。
自己判断での食べ物除去は、おすすめしません
「あやしいから、いったんやめておこう」という食品が増えると、お子さんの栄養バランスや成長に影響が出たり、かえって食べられなくなってしまうことがあります。除去を始める前に、一度ご相談ください。
きっかけになりやすい「悪化因子」
原因そのものではなくても、じんましんを出やすくする条件があります。
- 疲れ、睡眠不足、ストレス
- 汗をかく、お風呂や運動で体が温まる
- 服のゴムや下着でこすれる、圧迫される
- 発熱、体調不良
「保育園で疲れた日の夜に出やすい」といったパターンがあれば、それも大事な手がかりです。
すぐに受診・救急を考えるサイン
じんましんの多くは急ぎませんが、次のような症状を伴うときは、アレルギーの強い反応(アナフィラキシー)の可能性があります。
🚨 すぐに救急要請・救急受診を
- 息が苦しそう、ゼーゼー・ヒューヒューする
- 声がかすれる、犬が吠えるような咳が出る
- のどが詰まる感じ、飲み込みにくい
- 繰り返し吐く、強い腹痛
- 顔色が悪い、ぐったりして反応が鈍い、意識がもうろうとしている
⚠️ 早めの受診を
- まぶた・くちびる・耳などが大きく腫れている(血管性浮腫といいます)
- 特定の食べ物や薬のあとに出た
- ハチに刺されたあとに出た
- じんましんが数日たっても引かず、どんどんひどくなる
判断に迷われたときは、「様子を見ていいか電話で確認する」だけでも構いません。特に呼吸に関わる症状は、時間との勝負になります。
おうちでできること
冷やす
かゆみが強いところは、保冷剤をタオルで包んで軽く当てると、かゆみがやわらぐことがあります。 ※まれに「冷やすと悪化するタイプ(寒冷じんましん)」もあります。冷やして赤みが増える場合は中止してください。
温めすぎない
体が温まると血管が広がり、かゆみが強くなります。この時期のお風呂はぬるめ・短めのシャワーで十分です。湯船での長湯は避けましょう。
かき壊しを防ぐ
爪を短く切り、必要なら綿の手袋やスパッツなどで直接かけないようにします。かき壊すと細菌が入り、別のトラブルにつながることがあります。
締めつけない服を選ぶ
ゴムの当たる部分に出やすいお子さんもいます。ゆったりした、綿素材の衣類がおすすめです。
メモを残す
- いつ出たか(時刻)
- 直前に食べたもの、飲んだ薬
- そのときの様子(運動後、入浴後、発熱中 など)
- 写真
診察のとき、これがそのまま診断の材料になります。
病院ではどんな治療をしますか?
中心になるのは「飲み薬(抗ヒスタミン薬)」
ヒスタミンの働きをブロックするお薬を使います。現在使われている第2世代の抗ヒスタミン薬は、以前のものに比べて眠気が出にくく、お子さんにも比較的使いやすい設計になっています。シロップやドライシロップなど、年齢に合わせた剤形があります。
効きが不十分なときは、量の調整やお薬の変更を行いながら、その子に合うものを探していきます。
塗り薬は、じんましんの「主役」ではありません
湿疹やあせもではステロイドの塗り薬が中心になりますが、じんましんは皮膚の内側の血管で起きている反応のため、塗り薬だけで抑えるのは難しいのが実情です。かゆみ止めの外用を補助的に使うことはありますが、基本は飲み薬で治療します。
「まず血液検査でアレルギーを全部調べる」とは限りません
「アレルギー検査をすれば原因がわかるのでは」と思われる方が多いのですが、心当たりのないまま項目を広く調べても、原因にたどり着くことはあまり多くありません。むしろ、「実際には食べても平気なのに、数値だけ陽性」という結果が出て、不必要な食事制限につながってしまうこともあります。
そのため当院では、まずはお話(問診)を丁寧にうかがい、必要と判断した場合に検査をご提案しています。
薬は「症状が消えたらすぐやめる」ではありません
じんましんは、症状が消えても、出やすい体の状態がしばらく続いていることがあります。よくなったからと急にやめると、ぶり返すことがよくあります。
「出ない状態」をしばらく保ってから、少しずつ減らしていくのが基本の考え方です。減らすタイミングは診察のなかでご相談しますので、自己判断での中止はお控えください。
どのくらいで治りますか?
じんましんは、続いた期間で大きく2つに分けます。
急性じんましん(6週間以内におさまるもの) 子どもに出るじんましんの多くはこちらです。数日〜1〜2週間で落ち着くことがほとんどです。
慢性じんましん(6週間以上続くもの) 出たり消えたりを繰り返すタイプです。長くお付き合いすることもありますが、お薬でコントロールしながら、時間の経過とともに落ち着いていくケースが多いことがわかっています。焦らず、根気よく続けることが結果的に近道になります。
当院の一般皮膚科(プライマリ皮膚科)について
当院では、内科・小児科の診療のなかで、じんましん、湿疹、あせも、おむつかぶれ、とびひ、水いぼ、虫さされなどの日常的な皮膚のトラブルを診療しています。
「皮膚科に行くほどなのか、まず小児科でいいのか迷う」――そうしたご相談も歓迎です。診察のうえで、皮膚科専門医による詳しい検査や処置が必要と判断した場合には、適切な医療機関をご紹介いたします。
お子さんとご家族の受診をひとつの窓口でまとめられるのも、内科・小児科で皮膚を診るメリットのひとつです。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。