まず、ここだけ確認してください
お子さんの今の様子が、どれに当てはまりますか。
すぐに受診・救急
- ハチに刺された後に、刺された場所以外にじんましんが出た
- ゼーゼーする、息が苦しそう、声がかすれる
- 吐く、顔色が悪い、ぐったりして反応が鈍い
- 唇やまぶたが急にむくんできた
- マダニが皮膚に食いついたまま取れない
迷ったら救急車(119番)を呼んでください。全身の症状は数分で進むことがあります。
早めに受診(当日〜翌日)
- 赤みや腫れが手のひらより広く広がっている
- 刺された場所に水ぶくれ・ジュクジュク・かさぶたができ、まわりに広がってきた(とびひの疑い)
- 触ると熱を持ち、痛がって使いたがらない(歩きたがらない、腕を動かさない)
- まぶたや耳、陰部など、腫れやすい場所が刺された
- 熱が出た、機嫌が悪い状態が続く
- 市販薬を2〜3日塗っても、かゆみと腫れが引かない
- 草むらや山に入った後で、数日〜2週間後に発熱・発疹が出た
かき壊しからの細菌感染は、早く治療を始めるほど短期間で治まります。
おうちでケア
- 虫に刺された場所だけが赤く、少し腫れている
- かゆがるが、機嫌はよく、いつも通り遊んでいる
- 熱はなく、腫れが日ごとに小さくなってきている
下の「おうちでできる4つのケア」を参考に、2〜3日様子を見てください。
大人は刺されてすぐかゆくなり、半日ほどで引いていきます(即時型)。一方、小さなお子さんは刺された直後はあまり反応せず、翌日〜2日目にかけて赤み・腫れがピークを迎え、1週間ほど残ることがあります(遅延型)。これが「夜になって急にひどくなった」と感じる正体です。
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ虫のだ液に反応する準備ができていないため、ほとんど腫れません。何度か刺されるうちに「あとから型」が強く出る時期(乳幼児〜学童期)に入り、さらに刺され続けると「すぐ型」に移り、大人になるとどちらも弱くなっていきます。つまり、お子さんがひどく腫れるのは体が虫刺されを覚えている途中の、正常な経過です。
「うちの子だけ刺される」と感じるとき
刺されやすさには汗の量、体温、二酸化炭素の出しやすさなどが関係します。子どもは体温が高く汗もかきやすいため、実際に狙われやすい傾向があります。加えて、上のように腫れが目立つので「刺された跡」が残りやすく、より多く刺されたように見えます。
刺した虫を見分ける
虫の種類によって、腫れ方も、注意すべきポイントも変わります。刺された場所と季節から、ある程度は見当がつきます。
蚊(4〜11月)
露出した腕・足・顔に、丸い赤い盛り上がり。上でお話しした「あとから型」で、翌日に大きく腫れるのが小児では一般的です。まれに、刺された部分が広く赤黒く腫れて水ぶくれになり、微熱を伴うほど強く反応する子もいます。
腫れが手のひら大を超える/水ぶくれになる場合は受診を。
ブユ(ブヨ・ブト)(5〜9月・山や川)
皮膚を噛みちぎるため、点状の出血が残るのが特徴。足首やふくらはぎに多く、刺された翌日から強烈なかゆみと、パンパンの腫れが出ます。しこりとして数週間残ることもあります。
キャンプ・川遊びの後の足の腫れは、たいていこれです。
ノミ・イエダニ(通年・室内)
服で隠れるおなか・太もも・脇腹など、やわらかい部分に赤いブツブツが数個ずつ集まって出ます。夜のあいだに刺されるため、朝になって気づくことが多いパターンです。ペットや寝具が発生源のこともあります。
家族の中で複数人に同じ発疹が出るときは、環境の対策も必要です。
マダニ(春〜秋・草むら、やぶ)
数ミリ〜1センチほどの黒っぽい虫が、皮膚にくっついたまま離れません。ほくろやかさぶたと見間違えることがあります。痛みもかゆみもないため、お風呂で気づくことがほとんどです。
自分で引き抜かないでください。口の部分が皮膚に残り、感染症のリスクが高まります。医療機関で除去します。
毛虫(チャドクガなど)(5〜6月・8〜9月)
食物アレルギーによるじんましんの場合、次のような特徴が出やすいと言われています。
食べてから2時間以内(多くは30分以内)に出る
その食品を食べたときに、繰り返し同じことが起きる
じんましん以外の症状(せき、ゼーゼー、嘔吐、腹痛、ぐったり)を伴うことがある
逆に、「食べてから半日後に出た」「同じものを何度も食べているが、出たのはこの1回だけ」という場合は、食べ物が原因である可能性は低くなります。
ハチ(7〜10月がピーク)
刺された瞬間に強い痛み。局所の腫れは1〜2日でおさまるのが通常です。問題は、2回目以降に起こりうる全身のアレルギー反応(アナフィラキシー)で、これは刺されてから数分〜30分以内に始まります。
刺された場所以外の症状(じんましん・嘔吐・呼吸苦・ぐったり)が出たら、すぐに救急要請を。
おうちでできる4つのケア
①洗って、冷やす
まず流水と石けんで洗い、虫のだ液や毒針毛を落とします。そのうえで保冷剤をタオルで包んで当てると、かゆみの神経の働きが鈍り、腫れも抑えられます。温めるのは逆効果です。
②かゆみ止めを塗る
- まぶた・くちびる・耳などが大きく腫れている(血管性浮腫といいます)
- 特定の食べ物や薬のあとに出た
- ハチに刺されたあとに出た
- じんましんが数日たっても引かず、どんどんひどくなる
③かかせない工夫をする
爪を短く整え、寝るときは薄手の長袖を着せる。かゆみ止めのパッチを貼って物理的に触れないようにするのも有効です。ケアの目的の半分は「かかせないこと」です。
④2〜3日で改善しているか確認する
正しくケアできていれば、腫れは日ごとに小さくなります。同じか悪くなっているなら、感染が加わっているか、薬の強さが合っていない可能性があります。
⚠️ いちばん気をつけたいのは「かき壊し」です
虫刺され自体は数日で治りますが、かき壊した傷から細菌が入るととびひ(伝染性膿痂疹)になり、水ぶくれやジュクジュクがあっという間に広がります。抗菌薬による治療が必要で、その間はプールに入れません。また、長くかき続けた場所は硬いしこり(結節性痒疹)や茶色い色素沈着として、月単位で残ることがあります。早くかゆみを止めることが、跡を残さない一番の近道です。
虫よけ剤の選び方(子どもの年齢別)
市販の虫よけ剤の有効成分は、主にディートとイカリジンの2つです。効果に大きな差はありませんが、小さなお子さんに使う場合は、年齢制限の有無が選ぶポイントになります。
ディート | イカリジン | |
|---|---|---|
年齢の制限 | 生後6か月未満は使用不可
6か月〜2歳未満:1日1回まで 2歳〜12歳未満:1日1〜3回まで 高濃度(30%)製品は12歳未満不可 | 年齢の制限なし
(回数の制限もなし) |
効く虫 | 蚊・ブユ・アブ・マダニ・ノミ・トコジラミなど幅広い | 蚊・ブユ・アブ・マダニ・イエダニ |
使用感 | 特有のにおいがある。プラスチックや化繊を傷めることがある | においが少なく、衣類を傷めにくい |
向いている場面 | 山・キャンプなど虫の多い環境 | 乳幼児、日常の公園遊び |
塗るときの3つのコツ
- 顔にはスプレーしない。いったん保護者の手に取り、目・口のまわりを避けて薄くのばします。
- 手のひらには塗らない。指しゃぶりや食事で口に入ります。
- 日焼け止めを先に、虫よけを後に。逆に塗ると虫よけの効果が落ちます。
薬に頼らない対策も、意外に効きます
蚊は黒っぽい色に寄ってくるため、外遊びには明るい色の長袖・長ズボンが有効です。汗も蚊を引き寄せるので、こまめに拭き取るだけでも刺される数は減ります。夕方の水辺や草むら、ベビーカーの足元(低い位置に蚊が集まります)にも注意してください。
受診をお考えの方へ
じんましんは、続いた期間で大きく2つに分けます。
急性じんましん(6週間以内におさまるもの) 子どもに出るじんましんの多くはこちらです。数日〜1〜2週間で落ち着くことがほとんどです。
慢性じんましん(6週間以上続くもの) 出たり消えたりを繰り返すタイプです。長くお付き合いすることもありますが、お薬でコントロールしながら、時間の経過とともに落ち着いていくケースが多いことがわかっています。焦らず、根気よく続けることが結果的に近道になります。
当院では小児科・内科の診療のなかで、虫刺されやとびひ、あせもといった日常的な皮膚のトラブルを診ています。かゆみを早く抑えて跡を残さないこと、そして繰り返さないための予防までを含めてご相談いただけます。皮膚生検や外科的な処置、専門的な検査が必要と判断した場合は、皮膚科専門医療機関をご紹介します。
よくあるご質問
当院の一般皮膚科(プライマリ皮膚科)について
当院では、内科・小児科の診療のなかで、じんましん、湿疹、あせも、おむつかぶれ、とびひ、水いぼ、虫さされなどの日常的な皮膚のトラブルを診療しています。
「皮膚科に行くほどなのか、まず小児科でいいのか迷う」――そうしたご相談も歓迎です。診察のうえで、皮膚科専門医による詳しい検査や処置が必要と判断した場合には、適切な医療機関をご紹介いたします。
お子さんとご家族の受診をひとつの窓口でまとめられるのも、内科・小児科で皮膚を診るメリットのひとつです。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。