熱中症とは
熱中症とは、高温多湿の環境に体が対応できず、体内に熱がこもったり、水分と塩分のバランスが崩れたりして起こる体調不良の総称です。
初期には、大量の汗、顔の赤み、だるさ、頭痛、めまい、吐き気などがみられます。重症になると、意識がもうろうとする、受け答えがおかしい、けいれんを起こすといった危険な状態になることがあります。
こんなときは、すぐに119番へ
次のような様子があれば、重症の可能性があります。体を冷やしながら、迷わず119番へ連絡してください。
・意識がぼんやりする、呼びかけへの反応がおかしい
・自分で水分を飲めない
・嘔吐を繰り返す
・けいれんがある
無理に飲ませようとせず、救急要請を優先してください。
「その日は平気だった」は、熱中症を否定する理由になりません
炎天下で過ごしている間に目立った症状がなくても、帰宅後や翌日になって頭痛、吐き気、めまい、強い倦怠感が現れることがあります。「時差熱中症」と呼ばれることがありますが、これは正式な病名ではなく、暑さによる体への負担が時間差で表面化した状態を指す言葉です。
長時間の外出や作業で大量に汗をかくと、水分だけでなく塩分も失われます。その場では動けていても、体内には熱と疲労が残っています。
帰宅後も室温が高い、冷房を使わない、水分や食事を十分に取らない、飲酒だけで済ませる、睡眠が不足する——こうした条件が重なると回復が追いつかず、帰宅後や翌朝に症状がはっきりします。
熱中症になりやすい方
屋外で長時間働く方、スポーツや庭仕事をする方、暑い日が続いても十分に休めない方はご注意ください。
また、高齢の方、肥満傾向の方、心臓病・腎臓病・糖尿病などの持病がある方、睡眠不足や体調不良が続いている方は、体温や水分を調節する力が低下している場合があります。
熱中症は屋外だけで起こるものではありません。冷房を使っていない室内や、湿度が高く風通しの悪い部屋でも起こります。
子どもは大人より熱中症になりやすい
子どもは体温調節の機能が未熟で、体にたまった熱を汗で十分に逃がすことができません。さらに身長が低いため、アスファルトやコンクリートからの照り返しを強く受けます。大人の顔の高さではそれほど暑くなくても、子どもの顔の周辺はより高温になっています。ベビーカーも地面に近く、日よけで風が通らないと内部に熱がこもります。
また、子どもは遊びに夢中になると、のどの渇きや体調の変化に気づきません。「大丈夫?」と聞かれて反射的に「大丈夫」と答えることもあります。返事だけで判断しないでください。
短時間であっても、子どもを車内に残すことは非常に危険です。車内温度は短時間で急激に上昇します。
大人が観察してほしい子どもの変化
・顔が赤く、触ると体が熱い ・いつもより元気がない ・ぼんやりして反応が鈍い
・大量に汗をかいている ・暑いのに汗が出ていない ・頭痛、吐き気、腹痛を訴える
・ふらつきや筋肉のけいれんがある ・おしっこの回数が少ない
乳幼児は自分で症状を説明できません。機嫌が悪い、泣き方が弱い、母乳やミルクを飲みたがらないといった変化にもご注意ください。
当院での検査
熱中症は、暑い環境にいた状況、症状、診察結果を組み合わせて判断します。体温、血圧、脈拍、呼吸、意識状態、皮膚や口の乾燥などを確認します。
必要に応じて血液検査を行い、ナトリウムなどの電解質、腎機能、肝機能、血糖値、筋肉への影響を調べます。尿検査で脱水の程度を確認したり、持病や症状に応じて心電図を追加することもあります。
治療
治療の基本は、体を冷やすこと、十分に休むこと、水分と塩分を補うことです。意識がはっきりしていて自分で飲める場合は、涼しい場所へ移動して衣服を緩め、首・わきの下・足の付け根を冷やし、経口補水液などを少量ずつ飲みます。
水分を飲めない、吐いてしまう、脱水が強い場合は、点滴で水分と電解質を補います。重症の場合は、けいれんや臓器障害に対する薬物療法と全身管理が必要です。当院では、回復を促すために、体の熱を放散しやすくして体力を底上げする漢方薬を併用することもあります。
熱中症は、解熱剤だけで改善する病気ではありません。むしろ血管が収縮して熱がこもり、悪化したり長引くことがあります。自己判断で薬を飲み、無理に活動を続けることは避けてください。
帰宅後・ご家庭でできる予防
帰宅後はエアコンや扇風機を使い、涼しい室内で体を休ませてください。熱い風呂や長時間の入浴は避け、ぬるめのシャワーで体への負担を減らします。
のどが渇いていなくても、少量ずつこまめに水分を取りましょう。大量に汗をかいた日は、食事や経口補水液で塩分も補います。飲酒は水分補給の代わりにはなりません。
子どもと外出するときは、のどが渇く前から水分を取らせ、遊んでいる途中も20〜30分ごとを目安に日陰や冷房の効いた場所で休憩します。帽子や通気性のよい服を選び、気温が高い時間帯の長時間の外出は避けてください。ベビーカーは背中に熱がこもっていないかを確認し、保冷剤は直接肌に触れないようにします。
受診をお考えの方へ
「外にいたときは平気だった」という理由だけで、熱中症を否定することはできません。帰宅後や翌日の頭痛、吐き気、強い倦怠感が気になる方は、当院へご相談ください。
お子さまの症状については、小児科専門医も診療しています。「これは熱中症なのか、夏かぜなのか」といったご相談も歓迎です。





