睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome; SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。
この病気の方は、
- 周囲の方からいびきを指摘される
- 夜間の睡眠中によく目が覚める(息苦しくなって目覚めることもあります)
- 起床時の頭痛や体のだるい感じ
- 日中の眠気
などを経験します。
睡眠時無呼吸症候群の病態
睡眠時無呼吸症候群には、口や鼻から肺の入り口である声帯に至る空気の通り道が細くなるために発生する閉塞型、呼吸を調整する脳の働きが低下するために発生する中枢型、これら両方が関係する混合型に分けられますが、閉塞型が大部分を占めます。
閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の原因のひとつは肥満です。
睡眠中に、のどの緊張が緩むため、正常の人でも空気の通り道が細くなりますが呼吸が止まるまでには至りません。
しかし、肥満の人では、のどへの脂肪沈着が増加するために空気の通りが悪くなるのです。
肥満のない方でも、アゴの骨格(下顎骨が小さいなど)やのどの奥の形(扁桃腺や口蓋垂が大きいなど)によっては空気の通りが悪くなり易く、無呼吸の原因となります。
また、飲酒や睡眠剤の内服は、のどの緊張を緩める作用があり、無呼吸を増加させる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群の合併症と予後
この病気のこわい所は、睡眠中の低酸素や日中の眠気などによるストレスのために高血圧、脳卒中、心筋梗塞などの虚血性肺疾患の発生を増加させることです。
糖尿病、高脂血症もしばしば合併します。
我が国の睡眠呼吸障害研究会の検討でも(2000年)では、後に示す無呼吸低呼吸指数が20以上の患者さんでは、20未満の患者さんと比較して明らかに寿命が短いことが報告されています。
さらに、昼間の眠気は様々な事故につながります。そのため、この病気を正確に診断し、必要に応じて治療を行うことは重要です。
睡眠時無呼吸症候群の診断
1)日中の眠気の評価
患者さんの日中の眠気を評価するために、ESS(エプワース眠気尺度)問診票が知られています。
24点満点で評価されますが、11点以上で日中の眠気が強いと判断します。
日中の眠気チェック項目 | ほとんど 眠る |
しばしば 眠る |
たまに 眠る |
ほとんど 眠らない |
---|---|---|---|---|
すわって読書中 | 3 | 2 | 1 | 0 |
テレビを見ている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
会議、劇場などで積極的に発言などをせずに すわっている時 |
3 | 2 | 1 | 0 |
乗客として1時間続けて自動車に乗っている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
午後に横になったとすれば、その時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
すわって人と話をしている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
アルコールを飲まずに昼食をとった後、 静かにすわっている時 |
3 | 2 | 1 | 0 |
自動車を運転中に信号や交通渋滞 などにより数分間止まったとき |
3 | 2 | 1 | 0 |
合計 |
全項目の合計点を算出し、下記の表を参考に程度を評価します。
0~5 | 日中の眠気少ない |
---|---|
5~11 | 日中軽度の眠気あり |
11~ | 日中強度の眠気あり |
(Johns MW: A new method for measuring daytime sleepiness; The Epworth sleepiness scale. Sleep 14: 540-545, 1991より引用改変)
2)睡眠障害の検査
睡眠時無呼吸症候群の診断には、簡易検査(アプノモニター)と脳波を含めた精密検査(ポリソムノグラフィー;PSG)の2種類があります。
簡易検査は外来でも出来ますが、精密検査には入院が必要です。
睡眠の精密検査で、呼吸が止まったり、浅くなったりする回数(無呼吸低呼吸指数;AHI)が1時間に5回以上に増加すると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
一般的には、この回数が20回以上に増えた場合に、鼻マスクによる持続陽圧呼吸療法の適応になると考えられています。
この基準は、20回以上の患者さんの寿命が、20回未満の患者さんよりも短いことなどから決められており、睡眠呼吸障害研究会によるガイドラインにも記載されています。
3)口腔内のチェック
耳鼻科的診察で、のどの奥や顎の形に異常がないか確認することも必要かもしれません。
頭部CTやセファログラムという頭部レントゲン検査を行うことがあります。
4)合併症検査
必要に応じて、睡眠時無呼吸症候群に合併するとされる、高血圧、高脂血症、糖尿病などの検査を行う必要があります。
睡眠時無呼吸症候群の治療
1)経鼻的気道持続陽圧療法(CPAP療法)
最も重要な治療法は、経鼻的気道持続陽圧療法です。
これは鼻にマスクをつけ、特殊な機械で圧力をかけて空気を送り込む治療法です。
この圧力によって肺への空気の流れがよくなり、呼吸が止まることがなくなります。
この経鼻的気道持続陽圧療法の導入時には短期間入院する必要があります。
最短で1泊2日で済む場合もあります。
詳細は主治医の先生とご相談下さい。
また、経鼻的気道持続陽圧療法に使用される機械は非常に小型化されており、カバンに入れて持ち運びすることも可能ですので、行動範囲が制限されることもありません。
またつくば市のB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックでも、CPAPの継続管理外来を開設しております。お気軽にご相談ください。
(朝日新聞デジタルより引用)
2)その他の治療法
明らかな耳鼻科的な異常がある患者さんについては、耳鼻科医師や歯科医師とご相談いただき、手術や口腔内装具による治療の必要性があります。
その他の治療としては、生活改善が考えられます。
軽症の患者さんでは、横向きで寝ると空気の通り道が狭くなりにくいため、肺への空気の流れが良くなります。
アルコール摂取後や睡眠薬の服薬後は、のどの奥の緊張を低下させ、無呼吸を増加させまるため、出来るだけ控えていただいた方がいいと考えられます。
肥満の患者さんにおいては減量も重要です。減量によって無呼吸が減少する可能性もありますし、睡眠時無呼吸症候群にしばしば合併する高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを防止する意味もあります。
つくば市の内科 B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックでは、医師をはじめスタッフ全員のチームプレーで、みなさまの健康をお守りいたします。
ちょっとした身体の不調や、受診してよいか悩むような場合でもつくば市の内科、B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックにお気軽にご相談ください。
参考文献
この記事の監修者
小野間 優介(おのま ゆうすけ)
B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニック 院長
- 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医取得
- 日本医師会認定産業医
- 茨城県難病指定医
- 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
--プロフィール--
2022年7月に茨城県つくば市にB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックを開業し、
『お身体の不調で困った時にとりあえず相談できるクリニック』
『生活期に改善を目指したリハビリを行えるクリニック』
『Web問診・オンライン予約・オンライン診療などを取り入れ、高齢者だけでなく働く世代もアクセスしやすいクリニック』
この3つの特徴で、皆様の健康を守り、『夢あふれる未来』を創り上げるお手伝いをしていきます。
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