便通は本来、毎日あるのが健康な状態です。
便が3日以上出ない、便が硬くて量が少ない、残便感がある状態のことを便秘といいます。
便秘は、便が腸の中を進んで行くなかで水分が吸収され、その水分が少なくなることと強く関係しています。
食べ物や飲み物の水分は、約2リットル。
そこに胃腸から分泌される消化液が加わり、大腸にはかなりの量の水分が流れこみます。
その水分の大半は、大腸を通過する際に吸収されて、食べ物の残りかすが適度な硬さの塊(=便)になります。
大腸内での水分吸収量が少し増えるだけでも便が硬くなり、そこから便秘になりやすくなります。また、肩こりや腰痛、不眠、お腹の張り、皮膚のトラブルなど多様な症状が起こる原因にもなります。
便秘の患者さんは年々増加傾向にあり、現在、便秘の症状で悩んでいる方は600万人、自覚のない方を含めると1000万人の患者さんがいるといわれています。
便秘が起こる原因
便秘の原因には、機能性便秘(3種類)と、腸管に何らかの狭窄(きょうさく)がある器質性便秘のあわせて4種類に分けられ、人によって異なります。
機能性便秘
慢性の便秘で、消化器官で器質的異常がないものを機能性便秘といいます。
便秘の原因の中で最も多く、生活習慣やストレス・加齢などの影響を受け、便が作られる過程や排便の仕組みに障害があるケースです。
①弛緩(しかん)性便秘=大腸の運動が低下
便秘の中でも頻度が高く、女性や高齢者に多いケースです。
腸管の緊張がゆるみ、便を押し出す蠕動(ぜんどう)運動が十分に行われないため、大腸内に便が長くとどまります。
その結果、便から水分がなくなっていき、やがてカチカチに硬くなります。
おなかが張る、残便感、食欲低下、肩こり、肌荒れ、イライラなどの症状も起こります。
運動不足、水分不足、食物繊維不足、腹筋力の低下、極端なダイエットなどが原因となります。
②痙攣(けいれん)性便秘=大腸の過緊張
腸の蠕動(ぜんどう)運動が、ストレスなどの理由で過剰になり、痙攣状態になって便をうまく運ぶことに時間かかることによって、ウサギのフンのようなコロコロとした便になります。
食後に下腹部痛、残便感などの症状があります。
また、痙攣がおさまって腸の動きが活発になると下痢を起こすので、便秘と下痢を交互に繰り返すことも多いです。
精神的ストレスや環境の変化、過敏性腸症候群などが原因となります。
③直腸(ちょくちょう)性便秘=直腸に便が停滞
便意を習慣的に我慢していると神経の感覚が鈍って、運ばれてきた便が大腸から直腸に入っても排便反射が起こらず便意を催さなくなることにより便が直腸に停滞して、うまく排便できなくなります。
若い女性や子ども、高齢者や寝たきりの人のほか、痔や恥ずかしさにより排便を我慢する習慣がある人に多い便秘です。
弛緩性便秘体質の方や栄養不足などが原因となります。
(第一三共ヘルスケア「くすりと健康の情報局」より引用)
器質性便秘
イレウス、大腸がん、腸管癒着などの器質的な原因があって、消化管(小腸・大腸)に通過障害が起こるケースです。
突然の排便障害とともに、腹部膨満感、腹痛、嘔気・嘔吐などが生じる場合に疑われます。
腸管に基礎疾患が存在することで起こり、重篤かつ緊急を要する場合もあります。
大腸がんなどの腫瘍性病変、腸閉塞、Crohn病に伴う狭窄、周辺臓器の癌などによる腸管の圧迫も原因となります。
血便、激しい腹痛、嘔吐などがある場合はすぐにお近くの内科へ受診してください。
このような便秘では、腸管穿孔を起こすおそれがあるため、下剤を使用してはいけません。
便秘の治療
慢性便秘の多くは機能性便秘です。
成因に生活習慣との関わりが強く推定され、食生活を含めた生活様式の改善がまず試されます。薬物療法は補助的治療としてなされます。
弛緩性便秘
十分な水分の摂取や、腹筋運動・全身運動を指導します。腹筋運動は腹部の血行を促進して胃腸のはたらきを高め、自律神経にも作用して排便を促します。
ウォーキング、ジョギング、水泳、ヨガなどのエクササイズなどの全身運動も腹筋を鍛えることができ、弛緩性便秘の改善につながります。
生活指導でも十分な効果が得られない場合、薬物療法を開始します。
便を柔らかくするお薬や腸の動きを整えるお薬を使いながら、便秘の解消を目指します。
痙攣性便秘
日常生活のストレスが原因とされており、日常生活の誘因からの離脱が基本となりますが、困難な場合は薬物療法が併用されます。
便を柔らかくする薬が有効なことが多いです。
便が硬くなりすぎて出ない場合は、浣腸や刺激性下剤を一時的に使用することがあります。
大腸を外部から刺激することで蠕動(ぜんどう)を促すことができるため、腹部のマッサージや、腸の緊張を抑えるため、刺激の少ない食べ物をとりましょう。
香辛料や酸味の強いもの、揚げ物など脂肪の多いもの、アルコールやカフェインは控えましょう。
直腸性便秘
直腸性便秘は排便に対する抑制・無視が病態の基盤にあることから、日常生活の見直しが必要です。
規則正しい食生活、生活リズム、そのうえでの排便習慣の確立が治療の基本となります。
一時的に排便反射を誘発する座薬、浣腸が用いられます。
直腸を刺激するような座薬や浣腸にて排便を促すことで改善します。
便を柔らかくする薬を使用することはありますが、腸を強制的に動かす刺激性下剤を使用することはありません。
予防と対処法
便秘を予防するには、適度な運動やバランスの取れた食生活などが大切になってきます。
朝昼晩3食しっかりとり、食事のリズムを整えましょう。
特に朝食を抜かないことが大切です。
それに加えて、食物繊維や水分を十分にとるようにして、便を排出しやすくしましょう。
また、適度な運動やおなかのマッサージ、排便の習慣づけ、ストレスの発散も心がけるとよいでしょう。
(第一三共ヘルスケア「くすりと健康の情報局」より引用)
予防法
- 腸内環境を整える食品を積極的にとり、バランスのとれた食生活を送りましょう。
- 腸を刺激する運動(ウォーキング・水泳・ヨガなど)をしましょう。
- 決まった時間にトイレに行く習慣づけや、便意をなるべく我慢しないようにしましょう。
- ストレスが溜まらないよう、ゆっくりと休養を取ることや、十分な睡眠を取るようにしましょう。
B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックでは、医師をはじめスタッフ全員のチームプレーで、みなさまの健康をお守りいたします。
つくば市のB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックはバス停「小野崎南」より徒歩5分。
ちょっとした身体の不調や、受診してよいか悩むような場合でもお気軽にご相談ください。
参考資料
この記事の監修者
小野間 優介(おのま ゆうすけ)
B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニック 院長
- 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医取得
- 日本医師会認定産業医
- 茨城県難病指定医
- 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
--プロフィール--
2022年7月に茨城県つくば市にB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックを開業し、
『お身体の不調で困った時にとりあえず相談できるクリニック』
『生活期に改善を目指したリハビリを行えるクリニック』
『Web問診・オンライン予約・オンライン診療などを取り入れ、高齢者だけでなく働く世代もアクセスしやすいクリニック』
この3つの特徴で、皆様の健康を守り、『夢あふれる未来』を創り上げるお手伝いをしていきます。
関連リンク
- 病名から探す
- 高血圧
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 認知症
- 脳血管障害(脳卒中)
- 一過性脳虚血発作(TIA)
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- パーキンソン病
- てんかん
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 帯状疱疹
- 帯状疱疹ワクチン
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 新型コロナウイルス感染症の後遺症
- 気管支炎
- 気管支喘息
- 不整脈
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 膀胱炎
- 胃潰瘍
- 胃腸炎
- 甲状腺機能亢進症
- インフルエンザ
- 咽頭痛
- 子宮頸がん
- 子宮頸がんワクチン
- 変形性股関節症
- 変形性膝関節症
- 手根管症候群
- ばね指
- 頸椎症
- RSウイルス感染症
- 溶連菌感染症
- ヘルパンギーナ
- 手足口病
- 水ぼうそう
- 咽頭結膜炎(プール熱)
- アデノウイルス感染症
- 自律神経失調症
- 高血圧
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 認知症
- 脳血管障害(脳卒中)
- 一過性脳虚血発作(TIA)
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- パーキンソン病
- てんかん
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 帯状疱疹
- 帯状疱疹ワクチン
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 新型コロナウイルス感染症の後遺症
- 気管支炎
- 気管支喘息
- 不整脈
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 膀胱炎
- 胃潰瘍
- 胃腸炎
- 甲状腺機能亢進症
- インフルエンザ
- 咽頭痛
- 子宮頸がん
- 子宮頸がんワクチン
- 変形性股関節症
- 変形性膝関節症
- 手根管症候群
- ばね指
- 頸椎症
- RSウイルス感染症
- 溶連菌感染症
- ヘルパンギーナ
- 手足口病
- 水ぼうそう
- 咽頭結膜炎(プール熱)
- アデノウイルス感染症
- 自律神経失調症