自律神経失調症とは、体の内部環境を一定に保つ働きを持つ自律神経が乱れることにより、さまざまな身体的・精神的な不調を引き起こす症候群です。
自律神経は、交感神経と副交感神経からなり、体温調節や血圧、消化機能など、私たちが意識せずに行っている体の機能を管理しています。この自律神経のバランスが崩れると、体のホメオスタシス(恒常性:体内の状態を一定に保つ力)がうまく機能せず、心身に多様な症状が現れます。
季節の変わり目など気温や気圧の変化が大きいときや、長期休暇明けなど生活リズム上の変化が大きい時などホメオスタシスが強く働かなくてはいけない状況の際に、一般的に症状が悪化する傾向にあります。
ただし、自律神経失調症という名称は特定の疾患を指すわけではなく、これらの自律神経の乱れによって引き起こされる一連の症状を指す広範な表現です。原因も多岐にわたり、ストレスや生活習慣、ホルモンバランスの変化などが関連していることが多く見られます。
自律神経失調症の症状とは
自律神経失調症の症状は非常に多様で、個々の体質や状況によって異なります。主な症状として以下のようなものが挙げられます。
身体的症状:めまい、頭痛、動悸、息切れ、手足の冷えやしびれ、いたみなどの違和感、発汗異常、消化不良、便秘や下痢、肩こりなど。
精神的症状:不安感、イライラ、落ち込み、集中力の低下、疲れやすさ、不眠や眠りが浅いといった睡眠障害。
その他:過敏性腸症候群や過呼吸症候群のような症状も、自律神経の乱れによって引き起こされることがあります。
これらの症状は、明確な原因がわからない場合も多く、長期間にわたって続くこともあるため、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
自律神経失調症の診断方法
自律神経失調症の診断は、特定の検査で明確に診断されるものではありません。医師は患者さんの症状や生活習慣、ストレス要因などを詳しく聞き取り、他の疾患の可能性を除外しながら診断を行います。血液検査や心電図、ホルモン検査などが必要になることもありますが、これらは自律神経失調症自体の直接的な診断というよりも、他の疾患を排除するためのものです。
また、精神的な要因が大きく影響している場合も多いため、心理的なカウンセリングやストレスの度合いを評価することも重要です。
自律神経失調症の治療方法とは
自律神経失調症の治療には、症状を軽減し、自律神経のバランスを整えることを目的とした多岐にわたる方法があります。一般的な治療法としては、以下のようなものがあります。
薬物療法
症状の重さに応じて、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などが処方されることがあります。また、症状によっては血圧を安定させる薬や消化器系の薬が使われることもあります。しかし、薬物療法は一時的な症状の緩和を目的としているため、根本的な治療としてはストレスマネジメントや生活習慣の改善が重要です。
ストレスマネジメント
自律神経失調症の大きな要因の一つがストレスであるため、ストレスを適切に管理することが治療の中心となります。以下の方法が推奨されます。
- 認知行動療法(CBT):思考パターンや行動を変えることで、ストレスの原因を解消し、よりポジティブな考え方を身につける手法です。
- 行動活性化療法:活動量が減りがちな時期に、意識的に行動を増やすことで、気分を改善させる治療法です。特に抑うつ傾向のある人に有効です。
- ジャーナリング:感情や思考を日記のように書き出すことで、ストレスや心の整理をつけやすくする方法です。自分の気持ちや考えを文字にすることで、冷静に自分を振り返ることができます。
- WRAP(Wellness Recovery Action Plan):自分自身の健康維持計画を立て、ストレスや体調不良に対処するための手段を予め用意する方法です。日々の生活の中で、自分にとって有効な健康維持手段を見つけ、早期に対処することが目指されます。
生活習慣の改善
自律神経のバランスを整えるためには、規則正しい生活習慣を維持することが大切です。
- 十分な睡眠:毎日同じ時間に寝起きし、質の高い睡眠を確保することが、自律神経の正常な働きをサポートします。
- 適度な運動:軽い運動やストレッチを習慣化することで、心身のリフレッシュや自律神経の安定に繋がります。
- バランスの取れた食事:ビタミンやミネラルが豊富な食事を心がけ、特にストレスに対抗するために必要な栄養素を摂取することが重要です。
- リラックスする時間を持つ:仕事や家事に追われず、意識的にリラックスする時間を確保しましょう。ヨガや瞑想、深呼吸などのリラクゼーション法も効果的です。
自律神経失調症にならないために注意すること
自律神経失調症の予防や改善には、日常的にストレスをコントロールし、体調管理を怠らないことが大切です。特に、ストレスが溜まりやすい環境や生活リズムの乱れは、自律神経のバランスを崩す要因となるため、以下の点に注意しましょう。
- 定期的な健康チェック:自律神経失調症の症状は、他の疾患とも似ているため、定期的に健康チェックを行い、他の疾患を見逃さないようにしましょう。
- 早めの対処:不調を感じた場合は、早めに対策を取りましょう。無理に我慢すると、症状が悪化する可能性があります。
- セルフケアを重視:日々の生活の中で、自分の体調や感情に目を向ける習慣をつけましょう。自分の今の状態に合わせて忙しさや活動レベルを調節することがとても大事です。また事前に自分に合ったストレス解消法を見つけておくことも重要です。
自律神経失調症は、症状が軽い段階で適切に対処することで、重症化を防ぐことができます。日常的に自分の心身の状態を確認し、体調の変化に敏感になることが大切です。
つくば市の内科小児科B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックまでお気軽にご相談ください。
つくば市の内科小児科 B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックでは、医師をはじめスタッフ全員のチームプレーで、みなさまの健康をお守りいたします。ちょっとした身体の不調や、受診してよいか悩むような場合でもつくば市の内科小児科B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックにお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
小野間 優介(おのま ゆうすけ)
B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニック 院長
- 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医取得
- 日本医師会認定産業医
- 茨城県難病指定医
- 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
--プロフィール--
2022年7月に茨城県つくば市にB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックを開業し、
『お身体の不調で困った時にとりあえず相談できるクリニック』
『生活期に改善を目指したリハビリを行えるクリニック』
『Web問診・オンライン予約・オンライン診療などを取り入れ、高齢者だけでなく働く世代もアクセスしやすいクリニック』
この3つの特徴で、皆様の健康を守り、『夢あふれる未来』を創り上げるお手伝いをしていきます。
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