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風邪について

皆さんにとって一番馴染み深い病気とも言える風邪。

でも、風邪ってよくよく考えるとわかるようでわかりませんよね?

ここでは少し風邪について、詳しく述べてみたいと思います。

風邪とは?

私たちが呼んでいる風邪とは正式には「風邪症候群」と言います。

症候群とついたから何だ?となりますよね。

◯◯症候群とは、◯◯という症状を引き起こすような病気をひとまとめにして表現したものです。

さらに分かりませんね。

つまり「風邪」という症状(状態)を引き起こす病気がたくさんあって、それらをまとめて一つに表現した、ということになります。

つまり「風邪」は厳密には「病名」ではなく「症状(状態)」なんですね。

「風邪」とはどんな状態のことをさすのでしょう?

元々、中医学(漢方医学)の言葉である、「風(ふう)」の「邪(じゃ)」が体に入り込むことによって起こる症状、というのが由来です。

ただ、全ての医学の言葉に言えるのですが、日本人が西洋医学を学ぶ際に無理やり漢方の言葉を当てはめたため、厳密な漢方の意味とは違うことも多いです。(これについては漢方の項目で別途詳しくご説明します)。

今の医学上では、一般的に「鼻・咳・喉」の3つの症状のうち1つ~複数があって、「ウイルス感染によって引き起こされる」ものを風邪と呼びます。

ただ、症状が一つ、のことは基本的には少ないです。

というのもウイルスは特定の臓器の部位にしかいないことは少なく、多くの場合広範囲に広がる性質があるからです。

もちろん、1つの症状に留まることもありますが、1つしかない場合(例えば喉の痛みしかない、など)は、ウイルス感染症である風邪以外に、細菌感染症を強く疑う一つの所見にもなります。

細菌感染症と風邪を区別する大きな理由に、細菌感染症の方が重症化しやすいことと、細菌感染症には「抗生剤(抗生物質)」という特効薬があるため、区別が重要になります。

ここに関しては皆さんの中に「ん?」となった方もいらっしゃると思うので、治療のところで詳しくお話ししますね。

風邪の原因

上で、ウイルス感染とお話ししましたが、いろいろなウイルスがいます。

ウイルスというと、今話題の新型コロナウイルスや皆さんお馴染みインフルエンザウイルスもありますが、一応風邪とは区別されております。感染性や重症化、合併症、死亡率など極端に違うものは、区別されております。

代表的な風邪のウイルスは、ライノウイルス、コロナウイルス(新型除く)、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルスなどがあります。

季節によって流行しやすいウイルスが違うので以下にざっくりと記載しますが、その年その年で流行が変わりますので、あくまで参考程度に留めておいてくださいね。

風邪の治療

風邪の治療は、基本的に「自分の免疫力」になります。

ご自身の免疫細胞たちが頑張ってウイルスを排除することが根本的な治療になります。

そのためにしっかりと栄養(食事)を摂ったり、ゆっくり寝たりが必要です。

対症療法

ただ症状が辛いと、それらがやりにくくなるため、症状を抑える「対症療法」を一緒に行います。

「対症療法」のお薬は、解熱剤や咳止め、痰切り、鼻水止めなどですね。

これらはあくまで症状を「和らげる・抑える」だけの効果なので、それで治るわけではありません。

なので裏を返せば、しっかりとご飯が食べられたり、眠れるのであれば、風邪に対してお薬は不要です。

風邪の時に抗生物質が欲しい、抗生物質が効くのでは?と思っていらっしゃる方も多いかと思いますが、抗生物質はウイルスには全く効きません。

そもそもウイルスは生物ではないので、細菌などと構造がだいぶ違います。

なので細菌のさまざまな部位に作用するように作られている抗生物質は効果がありません。

ここが細菌感染と大きく方向性が変わってくる部分なので、内科の医師が「他に症状はありませんか?」などと聞くのはこういう理由もあるからですね。

ハチミツは有効な治療

また、対症療法として、お薬を使う以外の方法もあります。

咳に対しては、ハチミツは実はエビデンスもある有効な治療と言われています。

1歳未満の赤ちゃんには使えませんが、それ以外の年齢の人には幅広く使えます!

また、商品名を全部出してしまうと問題になってしまうかもしれませんので一部ぼやかしますが、ヴィッ◯スヴェ◯ラップも咳や鼻づまりを緩和する方法としては非常に有効です。

塗る場所は、鼻の下や胸部です。

塗るとパジャマなどがベタつくので、気になる方は塗った上からガーゼで保護するといいですよ!

風邪と細菌感染の見分け方

1つには、最初に述べた、「複数の臓器症状」があることです。

臓器症状というと分かりにくい表現ですが、つまりは咳(気管支)・鼻水鼻づまり(鼻腔や副鼻腔)・喉の痛み(咽喉頭)の症状があることです。

ここで問題となるのが1つしか症状がないケースです。

その場合、内科の医師が総合的に経過なども考慮して判断します。

発症間も無くなどは、症状が出揃っていないため、後から症状が出揃うことがあり、そのせいで1つしか症状がないこともあれば、細菌感染のせいで1つしか症状がない場合もあります。

溶連菌検査なども参考になりますが、溶連菌の迅速検査は感度が70〜90%(85%前後の報告が多い)なので、陰性であっても場合によっては偽陰性と考えて抗生剤投与を検討することもあります。

この辺は検査を最優先にすると患者さまに不利益が出てしまうので、よく内科の医師と相談しながら進めていくといいと思います。

風邪の一般的な経過と、怖いケース

風邪の場合、ひどい時期は大体3日くらいで、その後回復してきます。

なので、発症初期には判断がつかないことも多いです。

その場合、「少し様子を見ましょう」と言います。

つまり、内科の医師の言う「様子を見ましょう」というセリフは、どうでもいいという意味合いではなく、積極的に経過観察という診断ツール・治療ツールを使いましょうという意味合いですので、そう言われて邪険に扱われたと思わないでもらえるととても助かります。

また、逆にいうと、3日経過を見ても悪化するようであれば確実に受診が必要です。

その場合、細菌感染症で抗生物質による治療が必要なことも多いです。

怖いケース

  • 呼吸が苦しくて、会話が途切れ途切れでないとできない、またはそもそも会話できない。
  • 唾が飲み込めず、タオルなどで拭かないと唾液が処理できない。
  • 意識がぼんやりしていて、普段と反応が明らかに違う。

こんなケースはすぐに受診をしてください!

逆にいうと、そうでない場合、例えば、喉が痛くて物をあんまり食べられないけど、唾液は口からダラダラ垂れないようなケースは、実はそこまで心配な喉の痛みではなかったりします。

とはいえ、普段痛みがない方にとって(≒ほとんどの方にとって)、痛いこと自体はとても不安です。

不安な場合には、基本的には医療機関に相談でいいと私は思っています。

なので、不安で念の為相談したいなどでも、当院では快くお受けいたしますので、遠慮なくご相談くださいね!

つくば市のB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックでは、子どもから大人まで「熱が高い」「鼻水がつらい」「咳が長引く」などの風邪症状のある方の診察や治療を行っております。

ただの風邪でもつらさは人それぞれ異なるだけでなく、家族や周りの方にうつしてしまうこともあるので、お気軽にご相談ください。

>> 医院紹介はこちら


参考図書

  • 岸田直樹著、誰も教えてくれなかった「風邪」の見方、医学書院

この記事の監修者

小野間先生写真

小野間 優介(おのま ゆうすけ)

B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニック 院長

  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医取得
  • 日本医師会認定産業医
  • 茨城県難病指定医
  • 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)

--プロフィール--
2022年7月に茨城県つくば市にB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックを開業し、
『お身体の不調で困った時にとりあえず相談できるクリニック』
『生活期に改善を目指したリハビリを行えるクリニック』
『Web問診・オンライン予約・オンライン診療などを取り入れ、高齢者だけでなく働く世代もアクセスしやすいクリニック』
この3つの特徴で、皆様の健康を守り、『夢あふれる未来』を創り上げるお手伝いをしていきます。

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