起立性調節障害とは?
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation, OD)は、自律神経の働きがうまく調整できないために、体位変換時に血圧や心拍数が適切に調整できない状態を指します。
特に、立ち上がった時に血圧が低下し、めまいやふらつき、失神などの症状を引き起こします。一般的に小児や思春期の子供に多く見られ、成長過程での身体成長のスピードと神経系の成長のスピードに乖離があるために、神経系の調節が追い付かず、一時的な自律神経の不安定さが原因とされています。
症状
起立性調節障害の主な症状は以下の通りです
- めまい:特に立ち上がる時に強く感じます。
- ふらつき:歩行時や立ち続ける時に不安定になります。
- 失神:血圧低下が急激な場合、一時的に意識を失うことがあります。
- 頭痛:血流の不安定さから頭痛を感じることがあります。
- 倦怠感:常に疲れている感じがあり、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 動悸:心拍数が急に上がることがあります。
- 集中力の低下:めまいや倦怠感のため、学業や仕事に集中できないことがあります。
診断
起立性調節障害の診断には、以下の方法が用いられます
問診
患者や保護者からの詳しい症状の聞き取りが行われます。
以下の項目が3項目以上当てはまるとODが強く疑われます。
- 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
- 立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる
- 入浴時あるいは嫌なことを見聞きしたりすると気持ちが悪くなる
- 少し動くと動悸あるいは息切れする
- 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
- 顔色が青白い
- 食欲不振
- 臍疝痛をときどき訴える
- 倦怠あるいは疲れやすい
- 頭痛
- 乗り物に酔いやすい
基礎疾患の検査(胸部レントゲン写真撮影、甲状腺機能含む血液検査、尿検査、心電図検査など)
もやもや病やQT延長症候群などの命に係わる病気のせいで生じている可能性がある場合など基礎疾患が疑われる場合にはしっかりとそれらを除外していくことが重要になります。
新起立試験
寝た状態から立ち上がった時の血圧と心拍数の変化を測定し、立ち上がったあとの血圧回復時間も併せて測定します。
上記のチェックポイントで3つ以上当てはまり、他の疾患が否定された小児のうち3分の2が新起立試験で異常を認めるといわれています。
当院でも月曜日・火曜日・土曜日の11時~12時で起立試験を実施しております。お気軽にご相談ください。
上記に加えて、心身症の要素がないかも判断し、治療方針を検討していきます。
治療
起立性調節障害の治療は、主に生活習慣の改善と薬物療法が中心となります
生活習慣の改善
水分摂取
十分な水分を摂ることが重要です。最低1.5L/日、体重×40mL/日が望ましいです。
塩分摂取
適度な塩分を摂ることで血圧を安定させます。目安として10~12g/日(普段よりも3g/日程度多く)。
適度な運動
体を動かすことで自律神経を鍛えます。また、なるべく横になる時間を避けることもとても重要です。
ストレスコントロール
起立性調節障害は自律神経の病気ですので、心の影響も強く受けます。そのため、ストレスが増悪因子になります。身体の病気だということを本人以上に回りも認識し、そのメッセージを伝え続けることや、お子さまが抱えている苦痛を理解し、頑張りを認めてあげることがとても重要です。周囲で協力して見守っていきましょう。
規則正しい生活
睡眠時間を十分に確保し、ストレスを避けることが大切です。
日常生活上のコツの指導
起立中には足踏みや足を交差させると血圧低下を防げるのでそのような指導を行ったりもします。
学校への指導や連携
学校への理解が必須であり、診断書などを用いて学校への連絡と調整を図り、担任の先生やスクールカウンセラーとも連携を取っていきます。
薬物療法
血圧上昇薬
塩酸ミドドリン、メチル硫酸アメジニウムなど。血圧をあげることで安定させ症状の出現を抑えたり、症状を和らげたりします。
ベータ遮断薬
心拍数を安定させるために使用されます。
ミネラルコルチコイド
体内の水分保持を助け、血圧を安定させます。
抗不安薬
ストレスや不安を軽減させるために処方されることがあります。
注意すること
起立性調節障害に関して以下の点を把握しておくことがとても重要です。
「ODは身体疾患である」ということを認識すること
冒頭の概要のとおり、あくまで自律神経の調整がうまくできないという身体の問題に起因するもので、気持ちの問題ではないことをしっかりと認識しておくことが二次障害を起こさないためにもとても重要になります。
日内変動(朝つらく、午後から改善する)や季節変化(一般的に春から夏に悪化する)もODの特徴です
焦らずじっくりと取り組む必要があること
ODは神経系の成長が身体の成長よりも時間がかかることが大きな原因のため、時間をかけてじっくりと取り組んでいくことが大事です。ストレスなども自律神経を乱す原因となるため、焦って改善を目指すとストレスが増大しより症状が重くなったり時間がかかったりします。「焦らず慌てずやるべきことをやる」というのをサポートしながら進めていきます。
起立性調節障害についてお悩みの方は、つくば市の内科小児科B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックまでお気軽にご相談ください。
つくば市の内科小児科 B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックでは、医師をはじめスタッフ全員のチームプレーで、みなさまの健康をお守りいたします。
ちょっとした身体の不調や、受診してよいか悩むような場合でも、つくば市の内科小児科B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックにお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
小野間 優介(おのま ゆうすけ)
B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニック 院長
- 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医取得
- 日本医師会認定産業医
- 茨城県難病指定医
- 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
--プロフィール--
2022年7月に茨城県つくば市にB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックを開業し、
『お身体の不調で困った時にとりあえず相談できるクリニック』
『生活期に改善を目指したリハビリを行えるクリニック』
『Web問診・オンライン予約・オンライン診療などを取り入れ、高齢者だけでなく働く世代もアクセスしやすいクリニック』
この3つの特徴で、皆様の健康を守り、『夢あふれる未来』を創り上げるお手伝いをしていきます。
関連リンク
- 病名から探す
- 高血圧
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 認知症
- 脳血管障害(脳卒中)
- 一過性脳虚血発作(TIA)
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- パーキンソン病
- てんかん
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 帯状疱疹
- 帯状疱疹ワクチン
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 新型コロナウイルス感染症の後遺症
- 気管支炎
- 気管支喘息
- 不整脈
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 膀胱炎
- 胃潰瘍
- 胃腸炎
- 甲状腺機能亢進症
- インフルエンザ
- 咽頭痛
- 子宮頸がん
- 子宮頸がんワクチン
- 変形性股関節症
- 変形性膝関節症
- 手根管症候群
- ばね指
- 頸椎症
- RSウイルス感染症
- 溶連菌感染症
- ヘルパンギーナ
- 手足口病
- 水ぼうそう
- 咽頭結膜炎(プール熱)
- アデノウイルス感染症
- 自律神経失調症
- 高血圧
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 認知症
- 脳血管障害(脳卒中)
- 一過性脳虚血発作(TIA)
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- パーキンソン病
- てんかん
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 帯状疱疹
- 帯状疱疹ワクチン
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 新型コロナウイルス感染症の後遺症
- 気管支炎
- 気管支喘息
- 不整脈
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 膀胱炎
- 胃潰瘍
- 胃腸炎
- 甲状腺機能亢進症
- インフルエンザ
- 咽頭痛
- 子宮頸がん
- 子宮頸がんワクチン
- 変形性股関節症
- 変形性膝関節症
- 手根管症候群
- ばね指
- 頸椎症
- RSウイルス感染症
- 溶連菌感染症
- ヘルパンギーナ
- 手足口病
- 水ぼうそう
- 咽頭結膜炎(プール熱)
- アデノウイルス感染症
- 自律神経失調症