インフルエンザの予防には、ワクチン接種が非常に効果的です。インフルエンザワクチンには今までの「注射不活化ワクチン」以外にも今年から「点鼻生ワクチン(フルミスト®)」が日本でも承認を得て販売開始となりました。
それぞれの特徴やメリットが異なります。
本記事では、これら2つのワクチンについて詳しく比較し、それぞれの特徴を理解していただけるようにまとめました。
ぜひワクチンの選択の際にご活用ください。
1. 投与方法
点鼻生ワクチン: 鼻腔内にスプレーで吹きかける形式です。痛みがなく、針を使わないため、注射が苦手な方や小さなお子様に向いています。
注射不活化ワクチン: 皮下注射で投与され、一般的に腕などに注射します。注射部位には痛みや腫れが生じることがあるため、針に対する恐怖感を持つ方にはストレスを感じることもあります。
2. ワクチンの種類
点鼻生ワクチン: 生きたインフルエンザウイルスを弱毒化した「生ワクチン」を使用します。このため、ウイルス自体が体内で増殖することを通じて免疫を獲得します。
注射不活化ワクチン: インフルエンザウイルスを不活化(殺菌)した「不活化ワクチン」を使用します。ウイルスそのものは生きていないため、感染のリスクは全くありません。
3. 免疫の獲得
点鼻生ワクチン: 体内でウイルスが増殖するため、より自然な感染に近い免疫が得られます。1回の接種で十分な効果が期待され、迅速に免疫を獲得できます。
注射不活化ワクチン: 複数回の接種が推奨されており、免疫が完全に獲得されるまでに時間がかかることがあります。特に免疫力が弱い方や小さな子どもには、2回の接種が必要です。
4. 効果
点鼻生ワクチン: 鼻腔粘膜に直接作用するため、ウイルスの侵入を防ぐ「局所免疫」が強化されます。鼻や喉からの感染予防効果が期待されます。
注射不活化ワクチン: 主に体内でウイルスの増殖を抑える「全身免疫」が形成され、重症化の予防や症状の緩和に効果的です。
5. 副反応
点鼻生ワクチン: 鼻水や鼻づまり、喉の痛みなど、軽度の感冒症状が副反応として現れることがあります。しかし、これらの症状は通常軽度で短期間で治まります。
また、弱毒化したウイルスを噴霧するため、免疫抑制剤などを投与していたりなど免疫力が低下している人はインフルエンザウイルスに感染する可能性があります。
また、周囲に免疫力が低下した人がいるとその方にインフルエンザウイルスの感染を広げてしまうリスクもあります。
注射不活化ワクチン: 注射部位に痛みや腫れが生じることが主な副反応です。ごく稀に、発熱や体のだるさといった全身的な反応が見られることもあります。
6. 対象年齢
点鼻生ワクチン: 日本では2歳から18歳までの子どもや若者が対象となっています。成人や高齢者には使用できません。
注射不活化ワクチン: 6ヶ月以上の全年齢が対象で、幅広い年齢層に適しています。特に高齢者や基礎疾患を持つ方に適したワクチンです。
7.効果持続期間
点鼻生ワクチン:1年間は持続するといわれています。
注射不活化ワクチン:概ね4か月程度しか持続しないといわれています。
まとめ
インフルエンザの予防には、点鼻生ワクチンと注射不活化ワクチンのどちらも有効です。それぞれに異なるメリットがあり、個々の状況に応じて選択することが大切です。たとえば、注射が苦手な子どもには痛みがない点鼻生ワクチンが向いている一方で、高齢者や基礎疾患を持つ方には注射不活化ワクチンが推奨されることが多いです。
簡単な比較表を以下にまとめておきます。
項目 | 不活化ワクチン | 点鼻生ワクチン(フルミスト) |
---|---|---|
対象年齢 | 生後6か月から | 2歳から18歳まで |
価格 | 4,000円/1回 | 8,000円/1回 |
(12歳未満で当院で2回目を接種する場合、2回目は3,500円) | ||
接種回数 | 6か月~12歳:2回 | 1回 |
13歳以上:1回 | ||
助成金 | 公費適用(1回のみ) | 公費適用(1回のみ) |
メリット | 長年の使用実績がある | 注射ではなく、痛みがない |
副反応が局所の症状のみ | 効果が1年続く | |
妊婦や免疫抑制剤使用者も安全に使用可 | 1回で済む | |
局所免疫作用=かかりにくくなる作用が強く、どちらかというと効果が高い | ||
デメリット | 注射を嫌がる子供には不向き | 価格が高め |
効果期間が4か月程度と短い | 軽い感冒症状や発熱の可能性 | |
12歳未満は2回接種が必要なため生ワクチンと価格差があまりない | ワクチンウィルスの水平伝搬のリスク=周囲に免疫不全状態の方がいる場合には感染させてしまうリスクあり | |
妊婦、免疫不全の方は接種不可 | ||
接種後2か月間の避妊が必要 | ||
2歳から4歳の喘息既往がある方は接種不可 | ||
ゼラチンアレルギーの方は接種不可 | ||
おすすめされる人 | 注射が苦手ではない人 | 注射が苦手な方 |
免疫抑制剤などを投与している、または周囲にそのような人がいる方 | 免疫低下をきたす基礎疾患がない方 | |
妊娠中の方 | 少しでもかかりたくない方 | |
2歳から4歳で喘息持ちの方 | 受験生など長期間予防効果を望む方 | |
ゼラチンアレルギーの方 | 1回で接種を済ませたい方 |
インフルエンザワクチンの選択に迷った際や、さらに詳しい情報が必要な場合は、つくば市の内科B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックまでお気軽にご相談ください。医師をはじめ、スタッフ全員がチームでサポートし、皆さまの健康をお守りします。体調が優れない時や、受診について迷う場合でも、お気軽にお越しください。
この記事の監修者
小野間 優介(おのま ゆうすけ)
B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニック 院長
- 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医取得
- 日本医師会認定産業医
- 茨城県難病指定医
- 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
--プロフィール--
2022年7月に茨城県つくば市にB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックを開業し、
『お身体の不調で困った時にとりあえず相談できるクリニック』
『生活期に改善を目指したリハビリを行えるクリニック』
『Web問診・オンライン予約・オンライン診療などを取り入れ、高齢者だけでなく働く世代もアクセスしやすいクリニック』
この3つの特徴で、皆様の健康を守り、『夢あふれる未来』を創り上げるお手伝いをしていきます。
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