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くも膜下出血

脳血管障害の分類

脳血管障害(脳卒中)の中でも脳出血に関して詳しくお話をしました。

今回はくも膜下出血のお話をします。

くも膜下出血は、下図の通り、脳卒中の原因の一つで、脳出血と同様、「脳の血管が破れる」事で、起こる病気です。


では、脳出血と何が違うのか?

同じ脳内の血管が破れる事により起こるのは同じですが、破裂して、血液がどこに流れるのか?どこに出血するのか、によって脳出血かくも膜下出血かにわかれます。

脳の表面と分類

その話をわかりやすくするために、少し、脳の表面の解剖のはなしを簡単にします。

脳は、頭がい骨の中にむき出しで存在するのではなく、3層の膜に覆われています。

脳を覆う膜を外側から、「硬膜」「くも膜」「軟膜」と呼びます。

模式図は下のようになります。

この図だと、赤い膜がくも膜になります。

くも膜と軟膜の間には、脳せき髄液という液体で満たされているのと、この模式図にはかかれていませんが、小柱という細い線維の束が網目状に張りめぐらされています。

くも膜下腔からくも膜や軟膜を経由して吸収された脳せき髄液は、くも膜顆粒を通じて、静脈へと流れます。

くも膜下出血と脳出血の違いについて

くも膜下出血は、このくも膜と軟膜の間にある脳せき髄液で満たされた部分に出血が起こることで発症します。

一方で、脳出血は、脳の実質(上図でいう所の脳の部分)にある血管が破れて、脳の内部に出血することで発症します。

具体的に、どんな違いがあるのかまだわかりにくいので、さらに説明をつづけていきますね。

脳せき髄液は脳全体を覆っています。

脳全体を覆う膜の仲間にくも膜と軟膜があって、くも膜と軟膜の間に脳せき髄液が存在するので、ここは大丈夫ですね。

脳せき髄液の役割ははっきりとわかっていないという説もありますが、明らかなのは、
「形を保ち、ある程度外部からの刺激や圧力に対して脳を守る」
というものがあります。

豆腐屋さんで、豆腐を水に浮かべている目的と一緒です。

実際に脳は非常に柔らかいので、ちょっとした刺激でも壊れてしまいます。

なので、多少動いたり、圧力がかかっても大丈夫なように、脳せき髄液によって守られている訳です。

なので、ここで出血をしてしまうと、脳全体にダメージがいきやすいという訳ですね。

脳全体にダメージがいく、という事は、脳出血の記事まで順番に読んでくださった方にはピンとくるかもしれませんが、
「全般障害=高次脳機能障害が起こりやすい」
という事になります。

脳出血との明らかな違い

なので一言でまとめると、
『脳細胞の特定の部位に直接血液によるダメージが行くわけではないけれど、脳全体にダメージを負いやすい。』
というのが、脳出血との明らかな違いですね。


くも膜下出血による症状

なので症状としては、総論で出てきた5つの症状

  • 身体や顔の片側だけの、力が入らない、マヒする(片麻痺・運動障害・感覚障害)
  • うまく話せない、ろれつが回らない、他人の言うことが理解できない(構音障害・失語)
  • 力はあるのに、体がふらつく、めまいがする(失調)
  • 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける(視野障害・複視・半盲)
  • 激しい頭痛がある


のうち、上4つははっきりしない事が多いです。

「突然」「尋常でない頭痛」が出現

その代わり激しい頭痛は非常に特徴的です。

よく「バットで殴られたような激しい痛み」と教科書には載っていますが、そもそもバットで殴られた経験のある人はまずいないと思うのでわかりやすいようでわかりにくい表現ですよね笑

ただ「突然」「尋常でない頭痛」が出現するのが典型的なくも膜下出血の症状です。

もちろん、頭痛を感じられないような状態=意識障害(意識をなくす)になる事も多々ありますし、「尋常でない頭痛」にならない事もあるので、脳卒中全般に言える最大の特徴である「突然」起こるというワードがくも膜下出血を疑う際にも非常に重要となります。


くも膜下出血の原因

ところで、どうしてくも膜下出血になるのでしょうか?

その原因は色々とあるのですが、8割以上「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」という脳の表面を通るそこそこ太めの動脈にできたコブが破裂する事で起こります。

残り2割弱は血管の奇形だったりしますが、ここでは一旦置いておきます。

脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)ができ、そこに血液の圧力(=血圧)がかかり続け、ある時にパンッと血管が破れるのがくも膜下出血の発症です。


くも膜下出血の治療

治療としては、破裂してしまった血液などは広がってしまうためもはやどうしようもありません。

出血の原因であるコブから再出血を予防するための手術は出来ますが、それ以外は基本的に内科的な治療となります。

コブに対する手術は2つあって、一つは実際に頭がい骨を開けて、コブができている血管のコブの根本をクリップで挟んでそこから破裂しないようにする「クリッピング術」と、足のつけ根の太い動脈(大たい動脈)からカテーテルという管を入れて、コブまで到達させ、コブの中に細くて長いコイルを満たしてコブを無くすという「コイル塞栓術」があります。

クリッピング術とコイル塞栓術の簡単なイメージは下図のようになります。


命の危険

それ以上に、全身状態も非常に危険な事も多く、生命を維持するための集中管理が必要になることも多いです。

くも膜下出血になると、1/3は残念ながら亡くなってしまい、1/3は重度の後遺症を残し、1/3は後遺症が無いか軽い後遺症のみで退院できる人に分かれると言われています。

そのくらい、起こると恐ろしい病気でもあります。

また、後遺症のなかでも、比較的ぱっと見わかりにくい「高次脳機能障害」が後遺症にも残りやすいため、軽症の1/3の中にも結構仕事面でミスが増えたり、人との付き合いでうまくいかない事が増えたり、効率よく作業がこなせなくなったりなどで実は困っている、という方も実は少なくありません。

当院では、高次脳機能障害のリハビリもしっかりと行っていきますので、そうかもしれないと思われたら一度相談してくださいね。


まとめ

まとめです。

  • くも膜下出血は、脳血管障害(脳卒中)の一つです。
  • くも膜下出血は、脳の血管が「破れる」事によって発症しますが、脳出血とは破れて出血する部位が違います。
  • くも膜下出血は、脳全体を覆う3つの膜のうち、くも膜と軟膜の間に出血する病気です。
  • くも膜下出血は、「突然」発症します。
  • くも膜下出血は、「尋常でない頭痛を伴う」事が多いです。その代わり、脳梗塞や脳出血に特徴的な身体の個別の症状はでにくい傾向にあります。
  • くも膜下出血は、脳出血以上に、全般症状である「意識障害」や「高次脳機能障害」を生じやすいです。
  • くも膜下出血は、1/3は亡くなり、1/3は重度の後遺症を残し、1/3は軽症といわれています。
  • くも膜下出血の治療は、「生命維持のための全身管理」と、「再出血を予防するための手術」です。
  • くも膜下出血は、後遺症も「高次脳機能障害」が残りやすく、軽症な人でも目立たないが困っていることは結構多い。


なかなかなじみのない内容も勉強しないとわからないので難しかったですね。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。お疲れ様でした。

つくば市の内科B-leafメディカル内科小児科クリニックでは、医師をはじめスタッフ全員のチームプレーで、みなさまの健康をお守りいたします。

ちょっとした身体の不調や、受診してよいか悩むような場合でもつくば市の内科、B-leafメディカル内科小児科クリニックにお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

小野間 優介(おのま ゆうすけ)

B-leafメディカル内科小児科クリニック 院長

  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医取得
  • 日本医師会認定産業医
  • 茨城県難病指定医
  • 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)

プロフィール

2022年7月に茨城県つくば市にB-leafメディカル内科小児科クリニックを開業し、
『お身体の不調で困った時にとりあえず相談できるクリニック』
『Web問診・オンライン予約・オンライン診療などを取り入れ、高齢者だけでなく働く世代もアクセスしやすいクリニック』をかかげ、皆様の健康を守り、『夢あふれる未来』を創り上げるお手伝いをしていきます。

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